総一(ファフ)
「総士、これ・・・」
どうせ総士の事だから女の子から沢山チョコを貰うのは分かっている。
でも、絶対にあげないと嫌な自分がいる。
「一騎もくれるのか?」
『も』って言った・・・
やっぱり他にも貰ってるんだなって確定だ。
「要らなかったら捨ててくれて構わないから・・・」
伏し目がちにそう呟いても、食べて欲しいのが本音。
「捨てない。一騎のを1番に食べるよ。僕は一騎から貰ったのが1番嬉しいから」
そう言われて悪い気はせず・・・
期待してしまう。
好きでいても良いですか・・・?





スザルル(ギアス)
学校に行きたくないな・・・
そう呟くヴァレンタインの朝。
ここぞとばかりに攻めてくる女子。
直接持ってくるのはまだマシだ。
机やロッカーにこっそりと入れてくる者にはウンザリしてしまう。
そう思わないか?
既製品ならまだしも、手作りで差出人不明なんて気持ち悪い。
しかし捨てたら呪われそうなオーラさえも感じ取れてしまう。
どうしようか。
仮病でも使ってやろうか。
でもそんな事をしたらヴァレンタイン、否、女子の集団が怖くて逃げたようで、そう思われるのも癪だ。
「お兄様〜?早く学校に行かれないと遅刻ですよ?」
ナナリーが別の部屋からオレを呼んでいる。
時計を見ると、もうすぐ家を出る時間になっている。
「お兄様〜?」
どうしようか迷っていると、再度ナナリーの声がした。
その時、誰かが訪ねてきたような様子があった。
そして数分後、またナナリーがオレを呼ぶ。
客人は帰ったようだ。
もう学校に行く時間でもあるし、一旦はナナリーの元へ行く。
「あ、お兄様。これ、スザクさんから」
そうナナリーが手渡してきたのは茶色の包み紙に真紅のリボンで結んである箱。
上にはメッセージカードも添えられていた。
オレは箱を受け取り、カードを読む。
『日頃の感謝を込めて。ヴァレンタイン、おめでとう』
・・・・・・・・・日頃の感謝を込めて!?
感謝かよ!?
オレが欲しいのは義理チョコでなく恋人としての本命チョコだ!!
スザクの天然っぷりに頭を抱えながら、オレはスザクに文句を言うために学校に行くべきだと悟ったのだった・・・





学園シンキラ(種)
「はい、チョコ」
キラさんの手には小さなチョコレート。
よく駄菓子屋さんとかで見かける1個10円程度のチョコだ。
今凄いバリエーションが多くて、楽しいんだよな〜
マユなんか好きな味を1箱(100個入ってるから1000円程度なんだよな?)を買ってきて、1人占めして食べている。
バラエティパックじゃだめなのか?とも思うんだけど。
で、そんな話はどうでも良い!!
「あ、ありがとうございます?」
何でくれるのか分からなくて、でも一応受け取ってみる。
普通のチョコだよな?
「なんでいきなりチョコをくれるんですか?いつもポケットに常備してんのは飴じゃないですか」
キラさんの制服のポケットには飴が入っている事のが多い。
でも何で今日はチョコなんだろう??
「わかんないの?」
「分かりませんよ」
本気でオレは分からずに頭に疑問符が浮く。
「今日のアスランやラクス、カガリの様子を思い浮かべてごらん?」
えっと・・・
会長や副会長、運動部総長・・・
「いろんな人に追い掛け回されて走ってました」
「そう、その理由は?」
何で?
もうすぐマラソン大会でもあったっけ?
「まだ気付かないみたいだね。では、今日は何月何日だ」
「2月の14日?」
「では2月14日のイベントと言えば?」
「バレンタインデー!!?」
「はい、良く出来ましたvv」
にっこりとキラさんが頭を撫でてくる。
これって飼い犬に『いいこだね〜』とやってる飼い主じゃん?
あ、ってこのチョコ・・・
そう思うとかなり嬉しい。
キラさんがオレにチョコをくれたなんてvv
「オレ、世界で1番の幸せ者です!!」
「シンは大げさだね〜」
そう言われたけど、本当にオレは嬉しくて、キラさんを思わず抱きしめてしまうのだった。





アスキラ(種)
アスランになんかチョコあげないんだから!
カガリと仲良くしてれば良いよ!!
僕はアスランの事がもう嫌いになったんだから・・・
なーんて膨れて、拗ねて、ご機嫌斜めな雰囲気を全身から発してるつもりなのに、あの激ニブなデコときたら・・・
『キラ、甘いもの好きだろ?ほら、バレンタイン限定の有名店のチョコだぞ。』
とか言ってチョコをくれた。
それが僕は嫌いなんだよ。
でも・・・
でも・・・
僕が本当は甘いもの好きって覚えててくれたのがちょっぴり嬉しいんだ。
もう、今日だけだからね。
そう心に誓って、僕はアスランに呟いた。
『大好きだよ、アスラン』って・・・





沖土(銀魂)
「土方さん、これ、受け取って下さい・・・」
「私の気持ちです!!」
「大好きです!!」
朝から女共が何故か箱やら包みを持って特攻してきやがる。
少し考え、そう言えば今日がヴァレンタインデーだった事に気が付いた。
興味ねーな。
別に告白したかったらいつでもすりゃあ良いだろ。
それに甘いもんは好みじゅあねぇ。
だから貰ったものを片っ端から近くに居たヤツにくれてやった。
「ほれ、やる」
「良いんですかィ?」
総悟にもやった。
「あぁ。ってどうせお前も貰ってんだろ?好きにしろ」
「じゃあ好きにさせてもらいやすぜ」
「そうしろ・・・・」
ってなんで襲ってくるんだ!?
好きにしていいのは今渡した箱であって、オレじゃねー!!
全力で逃げる俺を笑顔で追いかけて来てバズーカを構える総悟に、来年からは絶対に横流ししない事を心に誓った・・・